幕僚長がテーマです。
戦後に発足した自衛隊には組織の欠陥がまだまだ残存しています。今回は幕僚長について取り上げます。本論に入る前に一般論からの説明となります。
【司令官】
司令官とは隷下の部隊に命令を下す者です。連隊の長は連隊長ですが連隊の司令官でもあります。同様に旅団の長は旅団長ですが旅団の司令官でもあります。関ヶ原の戦いで東軍の総大将は徳川家康だったと思いますが、家康は東軍の司令官(総司令官)と言えます。
【幕僚】
軍では司令官に作戦の選択等の助言を与える者(部署)が存在します。その者(部署)は命令を下す権限を持ちません。自分の手勢ももっていません。
歴史をさかのぼってみましょう。戦国時代の軍には軍師と呼ばれる者が付いていました。山本勘助などが有名です。満州を作戦域とした満州軍には参謀と呼ばれる部署がありました。日露戦争において満州軍総参謀長を務めたのが児玉源太郎です。ちなみに海軍では軍令部と呼ばれました。現代の自衛隊ではそれは幕僚監部と呼ばれています。
幕僚の英語名称はスタッフ(Staff)です。コンビニで働いている人たちをひとくくりにスタッフとも呼びますが、そのスタッフです。
実際に、例えば海上幕僚長(かいじょうばくりょうちょう)の英語名称は Chief of Staff, Maritime Self Defense Forceとなります。
幕僚長の英語名称がよく示すように、幕僚長は「司令官」ではありません。
【自衛隊 組織の不備】
ところで、海上幕僚監部の長は海上自衛官の最高位です。(ウキペディアから)
おかしなことになっています。海上幕僚長(海上幕僚監部)は防衛大臣と間接的に首相(内閣)を補佐していますが、隷下の部隊に命令を下す権限は無いハズです。陸上自衛隊や航空自衛隊にもそのことは当てはまります。
・結局のところ、自衛隊には本来の司令官(総司令官)が存在しておりません。国民に広く説明して、自衛隊の組織を本来の形にすべきと思います。有事が起こりえる周辺環境になってきています。早く改めないと自衛隊は本来の力を出せないでしょう。
・私の意見に反対する人は「軍靴の足音がますます高まって来た」と騒ぐでしょうが、組織の理念を曲げたままではその組織は活躍できないでしょう。それはとても大切なことで、権限と牽制の理念の下で三権分立が日本の民主主義の土台になっていることと同様に基本中の基本なことです。
・自衛隊の指揮権者は首相であり防衛大臣です。シビリアンコントロールが危惧されると指摘する人も現れるでしょうが、侵略戦争をおこなっているロシアですらシビリアンコントロールは失われておりません。なぜなら司令官(総司令官)更迭という権限を政権は備えているからです。立法府は将官の承認権を有しています。
end.
私の意見はおどろおどろしい話ではなく、世界にあっては常識といえる話です。
返信削除政府は来年度2023の統合司令部の設立を見送ったようです。
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